2004年07月28日

リベンジ3 (家族用滞在許可証が欲しいんです)

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それは、先週の23日(金)、ドイツに出張していた時のことだった。

昼食を取っていると、

僕の携帯電話が鳴った。


ご:「はい、ごいぴうちです。」

ファブリッツィオからだった。

フ:「例の資料一式、どこにある?家?会社?」

ご:「会社にありますよ。僕の机の、一番下の引き出しの中です。
   僕のパスポート以外は全てそこにあります。」

フ:「分かった。アントニオがその資料を誰かに見せるって。詳細はまた今度話す。」



そして、仕事が終わり、ミュンヘン空港でミニカーに心を奪われていた頃、

また、電話が鳴った。ファブリッツィオからだ。

フ:「月曜日、空いてる?」

ご:「はい。空いてます。」

フ:「アントニオと一緒に行ってくれ。もちろん、君の家族用滞在許可書の件だよ。
アントニオがある人に君の資料一式チェックしてもらって、問題なかったようだから、 さっそく月曜にでもアントニオと行ってきなさい。」

ご:「はっ、はい!行きます。」


ちなみにこのアントニオ、ルチャーノの上司で、        ルチャーノって誰?

総務系セクションの、中間管理職といったポジションだ。

そして、彼との会話は困難を極める。

彼の英語能力が低いというのも、まあ、原因の一つだが、

彼は、会話をかぶせるタイプなのだ。

めっちゃかぶせるのだ。

もう、全く最後まで話を聞いてくれない。

「ちょっと待って。」とか、「最後まで聞いて。」

を連発せずにはいられなくなる。

ちなみに、アゴは出ていない。




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7/26月曜日、AM8:00前、僕は、誰もいないオフィスでアントニオを待った。

AM9:00、アントニオはやってきた。(なんだよ、普通に来りゃ良かったんじゃん!)

ア:「9:15になったら行こう。」


AM9:15、我々は社有車フィアットプントに乗りこんだ。

ご:「で、いったいどこに行くんですか?」

ア:「中央警察だよ。」

ご:「Certosaのじゃなくて?」

ア:「あそこは飛ばして、直接、中央警察。」

ご:「どうやってこうなったんですか?バラディーノの知り合い?それともアントニオの?」

ア:「社長の知り合いかなにからしいけど、良く知らない。」


そう、僕はここで、初めて詳細を知ったのだ。


いったい何が起こったのか。

バラディーノがイタリア事業所の長、つまり、社長のロベルトに相談し、ロベルトが動いたのだ。

・どのようなつながりか、
・どのような方法を取ったのか、

誰も知らない。

「誰も聞けない」と言う表現の方が正しいかもしれない。

ロベルトは、総務の仕事をしているアントニオに、

・会う相手と、
・時間と、
・場所、

を伝えたのみである。


ご:「中央警察ってことは、すぐさま処理されるわけですよね?」

ア:「さあ、どうかなぁ。」

ご:「もし、そうなら、念のためにうちの家族も呼びましょう。」

ア:「いや、とりあえず行こう。」

ご:「何をする事になってるんですか?」

ア:「良く分かってないんだよ。」

ご:「処理するんじゃないんですか?」

ア:「かも知れないなぁ。」

ご:「処理をするには指紋取ったりするんですよ。
   家族がいなかったら、発行に至りませんよ。」

ア:「いや、とにかく行ってみよう。」

ご:「念のために、家族を連れて行きましょうよ。
   用がないなら、帰らせればいいんですから。」

ア:「いや、とにかく行ってみよう。」


この男、今ひとつ頼りにならない。というか、話しにならない。




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およそ30分後、我々は中央警察の前に立っていた。

そこにはまだ”参列者”の列がある。


ご:「どこで会うんですか?」

ア:「知らないんだよ。ただ、名前だけを聞いてるんだよ。」

ご:「あそこに守衛がいるから、そこで聞いてみたらどうですか?」


彼は、教えられた名前をその守衛(もちろん警察官)に伝えた。

そして、我々はその場で待つよう指示された。


5分ほどして、二人の男が登場した。

片方は、笑顔のステキなおじさん。

もう片方は、コワオモテのおっさん。

二人と挨拶したあと、笑顔のおじさんは、

「彼について行ってください。」

と言い残して、去って言った。


このおっさん、名前をレイナ(苗字)と言い、(かわいい名前?)

・身長:180cm以上

・ズボン:細身の赤(と言っても腹は出ている)

・シャツ:白地に、細い赤線の格子柄(なんかお洒落さん?)

・頭:スキンヘッド

・アゴひげ

・しゃがれ声

と、、、書いていて、なんとも想像しにくいキャラではないかと思うがどうだろう。


全体的には、

『ひげを生やしたロボコン』

という感じのアウトラインだ。


でも、そんなかわいいもんじゃない。

パッと見は、怖い。ひじょーに怖い


我々はレイナさんについて行くのだが、

彼は後ろの我々を気にもしないで、ガンガン突き進んでいく。


全ての列をすっ飛ばして中に入って行き、

そして、大勢の人が待つホールを突っ切って、

窓口の横のドアから、入って行こうとしたが、

鍵が閉まっていて入れない。

こう書くと、なんかコントみたいだが、その時は全く笑える雰囲気ではなかった。


「チッ!」

軽く舌打ちした彼は、対応中の窓口に向かっていき、

そして、話し中なのにまったく気を使うことなく、窓口の担当者に開けるよう指示した。


僕はその時、周りの目がとても気になっていた。


 「周りから僕はどう写ってるんだろう?」

 「この卑怯者、と思っているんだろうか。」

 「それとも、うらやむ羨望の眼差しなんだろうか?」

 「この人ごみの中に日本人はいるのだろうか?」


僕は、この場所に、何度も通った。

その多くは無駄足だったが、とにかくこの場所を僕は良く知っている。

そして、僕は、この混沌の中の一粒だった。

それが今は、そこを、まるで石ころをよける様に通り抜け、彼らが入れない場所に進もうとしている。

複雑な感情が僕を襲う。


鍵がすぐさま開けられ、我々はその混沌から抜け出した。

そして、ある廊下に置かれていた椅子に腰掛けた。


そして、レイナさんは言った。

レ:「で、家族は?」

やっぱり、そうだった。家族が必要だった。

アントニオはなにやら言おうとしていたが、

無視して、すぐさま電話した。



レイナさんは、担当官が来るのを待っていた。

担当官を呼びつけているが、忙しそうでなかなか対応できない。

当たり前だ。あれだけの人数を処理しなければならないのだから。


我々のような卑怯者が、順番をどんどん遅らせるのだ。

『僕もあそこの中にいたのだ。』

そのことがずーっと頭からはなれない。



担当官と家族を待っている間、レイナさんとアントニオは雑談を始めた。

なにやら、僕の仕事について話しをしているようだ。

その次は、どうやらうちの会社の話。

なんだか、うちとけてきたような感じもしてきた。


そんなこんなしてるうちに、僕の携帯電話が鳴った。

家族が門のところに到着したようだ。


「来な。」

レイナさんと僕は、二人を迎えに行った。


門のところで二人に会うと、レイナさん、少し笑みをこぼした。

やはり、彼もイタリア人、女性と子供には笑顔が出てしまうようだ。


先ほどの廊下に戻り、また、担当官を待った。

今度はうちの息子のおかげで、レイナさん、少し優しい感じになった。


どのくらい待っただろう。

ようやく、担当官が現れた。

そして、秘密の小部屋へと通される。

かと思いきや、そこは、とある部署で、次々と訪問者を処理していた。

我々の知っている窓口とは違う。


そして、昨日の日記に書いたとおり、
その担当官(女性)に指摘された。

(再度掲載)

女:「奥様のパスポートの苗字は『アヤノコジ』ですね。
   で、現在の姓はなんですか?」

ご:「『アヤノコジ』です。」

女:「しかし、見てください。この戸籍謄本の翻訳には、
旧姓の『シラトリ(←仮旧姓)(←なんじゃそりゃ)』しかありません。
つまり、このパスポートの女性が、この戸籍謄本に書かれている女性と、 一致すると言う証明が出来ないわけです。」

ご:「日本の場合、夫婦は必ず同姓なので、姓が省略されているのです。
つまり、これは、『アヤノコジ』だという意味です」

女:「しかし、それは、日本の仕組みであって・・・・
奥様の現在の姓で・・・
判断できない以上・・・
したがって、結婚証明の発行を・・・」


怒りと絶望感が入り混じった例えようの無い感情が僕を支配し始めたとき、

レイナさんが口を開いた。


レ:「足りないのはこの資料だけなんだな?」

女:「はい」

レ:「じゃあ、こうしよう。とにかく、引換券を発行しよう。
で、今度来た時に、引換券と一緒にその足りない資料も持参してもらって、 滞在許可証と交換だ。どうだ?」

女:「分かりました。そうしましょう。」


ということで、我々は、その場で引換券を取得することが出来た。

これは非常に重要なことだ。

この引換券、滞在許可証を持っていると同じ効力を発揮すると言っても過言ではない。

これを持った時点で、誰にもとがめられることは無く、イタリアに滞在できるのだ。

警察にとめられても、パスポートコントロールでとめられても、これを見せれば、

誰にも文句を言われること無く、イタリアに居られるのだ。出られるのだ。再入国できるのだーーー。
(たぶん)


その後、妻の指紋を取り、恐ろしいほど何度も指紋を取り、、、、

全ての指を両手各2回ずつ、

4本指にして両手1回ずつ、

そして、手のひら全部を両手2回ずつ、、、、

誰だ?
指紋取るとか取らないとかで文句言ってるやつは!?
日本人だって、ちょっと外国に住むのにもこれだけ指紋取られるんだぞ!
一回くらい取られても、文句言うんじゃねー。
それが外国に住むっつーことなんじゃ!
なんて、言う権利が我々にあるかないかは良くわからないが、ちょっと言ってみた。



その後、その特殊インクを洗い落とすのだが、そこの出入り口付近に手洗い場が用意されており、 みな、そこでその特殊インクを落とすことになっている。

妻が、一所懸命落とそうとするが、 洗剤が足りないために、うまく落とせない。

「洗剤が無いから落ちないよ!」

妻はキレ気味だった。

レイナさんを目の前に、妻はキレ気味だった。

するとレイナさん、さっきの指紋取り事務所にツカツカと入って行き、

「洗剤はどこだ!」

洗剤取ってきてくれました。

優しいじゃん、レイナさん。

良い人だよ、レイナさん。

妻の手がきれいになったら、さよならの時間だ。


我々は、丁寧にレイナさんにお礼を言い。

さよならした。





だが、まだ、我々の滞在許可証取得の道は終わったわけではない。

次の日、僕は、早速、日本領事館に向かったのであった。

無意味に早起きをして...





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今日の昼ごはん:

 ・モッツァレッラとたまねぎのピッツァ
 ・ビール

今日は、月一回のミーティングの日で、バラディーノさんのおごり(ニヤリ)




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